サンスクリット語のアシュタンガを直訳すれば、アシュット(shto)は「八」、アンガ(anga)は「枝」で、ここでは「段階」という意味です。インドの名高い聖者パタンジャリが、2000年以上前に書いた教典で、ヨーガの体系を八支則にまとめました。それぞれの技は、自己実現に至るために踏むべき段階なのです。この古い教典に基づく伝統によって、八支則は厳密に順を追って学ぶものとされ、この道に志すものはそれぞれの段階に応じた成長を遂げていきます。基礎から並べれば、八支則は以下の通りです。ヤーマ(禁戒)、二ヤーマ(勧戒)、アーサナ(座法)、プラティヤーハーラ(制感)、ダーラナ(凝念)、ディヤーナ(静慮)、そして最後にサマーディ(三昧)。
パタンジャリはその聖典のなかで、精神と肉体、そして魂を浄化し、くびきをかける(ここでは「一体化する」の意)ためには、この八支則をひとつ残らず順に行う必要があるとしています。その旅の終わりには、ヨーガの木がその実を結び、収穫を待っているというわけです。
しかし、最後の2本の枝、ヤーマ、二ヤーマの基本となる概念は、東洋的な伝統の考え方のなかで生まれ育ったものでなければ、最初のうちは理解しにくいものです。そこで、シュリ・K・パッタビ・ジョイス(師グルジ)は、西洋人の弟子には、まず3番めの技、アーサナから指導します。厳しい修行とアーサナの実践を通して、弟子たちは呼吸コントロールに意を用いるようになり、その大切さを理解し始めます。ウジャーイー呼吸に注意を払うことで、心の清澄さを経験するようになります。ここまで来てやっと、最初の2本の枝を学ぼうという心の準備が整うのです。
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